May 14, 2010
PCのデータ復旧方法
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JR東日本が復元した蒸気機関車C61形20号機(C61−20)が、4日から上越線の高崎−水上駅間(群馬県)で運転を開始した。
【写真で見る】復活したC61の雄姿
7〜9月に展開する観光イベント「群馬デスティネーションキャンペーン」の一環として7月に復活運転を開始する予定だったが、試運転が順調に進み、JR上越線高崎−水上駅間の臨時快速「SL C61復活号」として1カ月前倒しで運転することになった。
運転開始2日目の5日、「SL C61復活号」に乗った。高崎駅2番線には、蒸気機関車全盛期当時に使用されていたこげ茶色の旧型客車6両編成が据え付けられている。水上方面から黒光りする巨体が煙を吐きながらゆっくりとバックで近づいてくると、待ち受ける乗客や見物人の間に歓声が上がった。C61はいったん停車し、誘導係の緑の手旗に従って、歩くような速度で客車に連結した。機関車の前部には「Revival C61−20」の青いヘッドマークが掲げられている。
渡線橋からホームに下りてきた女子高生のグループが茶色い客車を見て、「アンティークな列車だ」「博物館みたい」とはしゃぐ。編成全体を見渡していた1人が先頭に連結されたC61が煙を吐いているのに気づき、「すごーい。本物の汽車だ!」と叫ぶ。彼女たちは、機関車に向かって駆け出した。
やがてホームの放送が乗車を促す。電子音の発車メロディーや、都市近郊高速列車のイメージの強い「快速」の列車種別が古風な汽車に似つかわしくない。駅の発車案内板もLED(発光ダイオード)化されており、数十年前の列車が現代の鉄道に迷い込んだように見える。やはり21世紀の蒸気機関車なのだ。
定刻の午前9時56分に野太い汽笛が響き渡り、発車した。スムーズに加速する電車やディーゼル車とは違い、不器用にがくん、がくんと速度を上げていく。機関車の排気音の間隔が徐々に短くなる。蒸気機関車の走りっぷりも、乾いた旧型客車の走行音も昔のままだ。 「ハイケンスのセレナーデ」のオルゴールが鳴り、車内放送が始まった。「ようこそ『SL C61復活号』へ! 本日は見事によみがえりましたC61−20にご乗車くださいましてありがとうございます」
市街地をゆったりとした足取りで10分余り走り、両毛線との接続駅、新前橋駅に停車する。家族連れなどが乗り込み、空席はほぼ埋まった。高崎と同じように大勢の見物人に見送られ、新前橋を発車した。市街地を抜け、列車は段丘の縁を走る。右窓から見下ろす平地には、畑の間に住宅が点在し、遠くには風力発電の巨大な風車がそびえている。
梅雨時のどんよりとした曇り空で、車内は蒸し暑い。冷房はなく大半の窓は開け放たれている。石炭のすすが目に入りヒリヒリする。列車は時速50キロくらいで悠然と走る。C61は、東北線で特急「はつかり」や、ブルートレイン「はくつる」などをけん引した俊足の持ち主なのだが、古い機関車に負担を掛けないように低速で運転しているのだろうか。
通過する駅のホームや、沿線の公園やグラウンドから手が振られ、機関士は汽笛を鳴らして応える。
車内放送が伊香保温泉の玄関口、渋川到着を告げる。「これより先の上り勾配に備え機関車の点検のため27分停車致します。この時間を利用して、C61をバックに記念撮影などいかがでしょうか」
ドアが開くと乗客はC61に群がった。機関車を背景に記念撮影をしたり、運転席内部の撮影をする人がいる。機関士を質問攻めにしている乗客もいる。検査係が前日に再デビューを果たしたばかりのC61−20の足回りを入念に点検している。
向かいのホームに水上方面行きの各駅停車の電車が到着した。電車の窓からは蒸気機関車と旧型客車に好奇の目が注がれる。各駅停車はすぐに発車した。何と、「快速」が長時間停車し、各駅停車に道を譲るのだ。
渋川を発車した「SL C61復活号」は利根川の鉄橋を渡る。ここは蒸気機関車の撮影名所らしい。カメラの放列だ。
あたりは急に山深くなった。右下に国道と利根川が寄り添う。晴れていれば川面は深緑色なのだが、曇り空のためかよどんだ色をたたえている。並走する車の助手席や後部座席から、カメラのフラッシュがたかれる。
尾瀬の玄関口の沼田、C61−20の僚機であるD51−498が1988年の復活まで展示されていた後閑とに止まり、左窓に渓流となった利根川を見ながら列車は終着駅、水上へと進む。目にしみるような緑色の水が、岩場に当たって砕ける。谷間に汽笛と機関車の排気音がこだまする。
大勢の見物人が沿線で見守る中、列車は水上駅のポイントを渡った。水上温泉旅館業界関係者らが、向かいのホームで「ようこそ水上へ 歓迎C61 20」の横断幕を持って出迎える。
機関車は、すぐに客車から切り離され、駅前方の転車台へと向かった。誘導係の緑の手旗に従って、蒸気機関車は転車台に乗った。半回転すれば方向転換できるのだが、そこは撮り鉄や乗客へのサービスなのだろう。転車台でC61は1回半回った。機関車は入れ替えの後に側線に入り、石炭ガラを落とし、炭水車に給水し、復路の高崎行きの運転に備える。
「SL C61復活号」は、6月の週末に、高崎−水上駅間を走る。群馬デスティネーションキャンペーンの期間中、C61、D51の他、JR東日本新潟支社所属のC57−180や秩父鉄道のC58−363など、4両の蒸気機関車が上越、信越線を駆け巡る。これは、夏に電力不足が懸念される中、同社高崎支社が電力を消費しない蒸気機関車を中心にイベント列車を計画したためである。
本来、蒸気機関車は、70年代に役目を終えて引退したはずだった。だが、このような時代遅れの「過去の遺物」が観光振興の立役者として、また産業遺産として21世紀に鉄道に営業列車として生き続けている。この夏は、そんな蒸気機関車の旅に出かけてみてはどうだろうか。【小田真】
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